介護の現状・人材不足、老老介護、一人暮らし高齢者などの問題と解決策

介護を取り巻く環境には、さまざまな問題が山積しているのが現状です。介護人材の慢性的不足、老老介護、一人暮らしをする高齢者の増加などの問題はどのような原因で社会問題化しているのでしょうか。これからも急速に高齢化が進む日本社会。これらの問題への解決策はあるのでしょうか?

介護の現状

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日本の少子高齢化は、介護の世界に大きな影響を与えています。介護人材は慢性的に不足し、高齢の子どもが高齢の親の介護をする「老老介護」や一人暮らしの高齢者の増加、などの問題に拍車をかけています。介護の制度に関わる問題なども発生し、将来のさらなる社会の高齢化を見据え、これらの問題の解決が課題とされています。

介護人材についての問題

日本ではここ数年、多くの業界において人手不足の状況が続いています。介護業界も同様で、人手不足によりサービスを行うことのできない施設もあるほどです。これから日本が超高齢化社会へと向かうにもかかわらず、人材不足により将来、高齢者が十分な介護を受けられない、という事態が起こりえるのです。
日本は、2065年には、人口の約25%が75歳以上という「超高齢化社会」となります。人口に対する若年層の割合は低くなるわけですから、高齢者数が右肩上がりに増えていくだけの状況では、なんらかの手を打たない限り、看護人材の不足はこれからも進んでいくことになります。
2017年に介護労働安定センターが行った調査では、66%の介護施設が人手不足だと回答しています。(参考:平成29年度「介護労働実態調査」の結果http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h29_chousa_kekka.pdf)
調査に回答した介護施設では、中でも訪問介護員の不足が深刻で、80%を超える施設が「不足している」と回答しています。

求人しても採用が難しい

ここまで人材が不足する原因は、少子高齢化だけではありません。介護施設では常に求人を行っていますが、採用がひじょうに難しくなっているのです。採用を困難にしているのは、実は人材獲得競争が激しくなっているからです。数少ない優秀な人材の獲得を目指し、多くの施設がしのぎを削っている状態なのです。また、景気の影響、介護業界の仕事の労働条件、なども人手不足の要因になっていると考えられています。実際、給料の低さを理由に離職する人材も多いことは否定できません。3Kと呼ばれることも多い介護の仕事は、それだけでも採用に影響しますが、給与水準についても高いとは言えません。

介護人材不足への対策

日本政府も、介護人材の不足を解消しようとさまざまな努力を続けています。その一つが処遇の改善です。政府は、介護福祉士として10年間勤続した者に対して、月平均8万円を支給する予定です。これにより離職を防ぐ狙いがありますが、現状、介護福祉士の勤続年数は平均6年程とされていて、この金額を支給する意味があるのかどうかも疑問です。
外国から介護人材を受け入れる環境整備も進んでいます。すでにベトナムとは、技能実習を通した人材受け入れについて、両国間で合意に至っています。日本国内だけで人材不足を補うことは、もはや難しいと考えて間違いありません。
職場のIT化など、働きやすい環境整備も進んでいます。介護福祉士は、実際の介護のほかにもさまざまな雑務をこなしていますが、その多くは書類への検査結果の記入などで、かなり負担になる作業。IT化することで労働環境改善、そしてプロセスの効率化に役立つと考えられます。

老老介護

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老老介護は、高齢者が高齢者を介護すること。たとえば、高齢の子どもたちが高齢の親を介護することをこのように呼びます。老老介護は、高齢化、核家族化などの社会の傾向が、そのバックグラウンドにあります。このままの状態では、認知症患者が認知症患者を介護する「認認介護」といエクストリームなレベルにまで、日本社会は突き進んでしまう可能性があります。

老老介護の現実

65歳以上の高齢者だけで構成されている世帯は増え続けており、全世帯の約25%に上ります。こうした世帯に住む要介護高齢者の介護をしている人も、半数以上は65歳以上の高齢者。これが老老介護です。現在、すでに介護をする人も要介護者も75歳という世帯もひじょうに多くなっています。
認知症が、要介護となった原因としてもっとも多い病気です。老老介護を行っている世帯では、夫婦が介護者・非介護者の関係であることも多く、このケースでは、いずれ認認介護に至る心配があります。認知症とは言えないまでも、軽い認知症の症状を持つ「認知症予備軍」の方も多くいらっしゃいます。このままでは、日本はひじょうに危険です。
老老介護や認認介護は、危険な問題へと拡大するおそれがあります。老老介護や認認介護世帯の「社会からの孤立」「共倒れ」、そして介護だけでなく、生活に関するすべてのことが管理不能となる状況は、「介護心中」や「介護殺人」という悲惨な結末につながるケースすらあるのです。

老老介護対策

老老介護や認認介護に関しては、有効な対策がとられていないのが現状です。介護サービスを利用している場合は、ケアマネジャーの存在があり、介護サービス利用者個別のケアプランによる対応が可能です。自宅で家族が自力で介護している場合は、地域包括支援センターが頼りになる存在です。

介護に関するそのほかの問題

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介護を取り巻く環境には、さまざまな問題や課題があるのが現状です。

高齢者の一人暮らし

現在、一人暮らしの高齢者が増えています。高齢者の一人暮らしは、認知症や孤独死ととなり合わせ。高齢者の約15%が認知症を患っていると言われる現在、現在は良くても数年後には…という方は、確かに存在しているのです。
一人暮らしの高齢者が認知症を患うと、犯罪や事故などに巻き込まれる可能性が高まります。徘徊などにより、近隣住民に心配をかけたり、トラブルを引き起こしたりする可能性もあります。
孤独死も大きな問題です。孤独死する人の数は増加傾向にあり、近くに住む人に与える影響も大きいことから、国も孤独死対策については、地域社会全体で取り組むべき課題と位置づけています。

介護難民

介護難民は、介護保険法における要介護者に認められているものの、介護施設などに入居できず、受けられるべき介護サービスを受けられていない高齢者のことです。介護難民の数は増加の一途で、高齢化が進む以上、さらに介護難民の数が増えることは確実です。
介護難民が出てしまう要因として、すでにご紹介している看護人材の不足が挙げられます。国は介護人材の育成や待遇改善、外国人材の採用などを行っています。また、地域が一体となって高齢者のケアに当たるという考え方をベースにした取り組みも進めています。しかし、これらに即効性はないため、一人ひとりが介護難民にならないよう、健康的な生活を送る努力が求められます。
このまま少子高齢化が進み、人材不足が続くのであれば、将来、介護サービスを受けられない介護難民は確実に増えます。子どもが親を介護することが普通だった日本でも、介護保険制度の始まりで、そのスタイルに大きな変化がもたらされました。もちろん、日本人のライフスタイルが欧米型に変わったことも、その変化に影響しています。以前から比べると、介護施設が増えていることは間違いありませんが、それでもまだまだ課題はあります。この少子高齢化社会に暮らす一人ひとりが自覚を持って問題に取り組むことで、少しでも良い将来につなげましょう。